藍の葉を育てることで手いっぱいで、染めになかなか本腰を入れることができなかった歓藍社。
試行錯誤を経て、ようやく藍の乾燥葉染めを安定して行えるようになりました。
去年作ったスクモがあるので、今度は本命のスクモ建ての藍染に挑戦しなきゃ。
歓藍社流の乾燥葉ハイドロ建て、ご家庭の鍋やバケツを使ってできる小規模レシピをご紹介します。
生葉染めと違い、一年中染めることができる上に、薬品で色素を抽出するので時間と手間がかからないのが乾燥葉ハイドロ建てのいいところです。
材料(カッコ内は、乾燥葉300gのときの分量です)
□乾燥葉 50g (300g)
□ハイドロサルファイトコンク 18g (36×3の108g)
あらかじめ6g×3杯に分けておきます
□ソーダ灰 18g (36×3の108g)
こちらも6g×3杯に分けておきます
□ステンレス鍋(アルカリで腐食するアルミ鍋はNG)
□2L程度の水が入るボウルやバケツ
□洗濯ネット
□軍手
□ゴム手袋
まず、茎ごと乾燥させた藍の葉を茎から取ります。「葉こぎ」の作業です。
茎、花、種にはインディゴが含まれないのでしっかり取り除きます。
歓藍社では、このようにみんなで輪になって、よもやま話をしながら葉こぎをしています。
50gの乾燥葉を計ってステンレス鍋に入れ、水1.5L(葉が300gの場合は9L)を入れて、火にかけて沸騰させます。
沸騰したら火を止めて、洗濯ネットで葉を漉して煮汁を捨てます。
最初に煮るのは葉をふやかして汚れを取るためなので、この煮汁は染めには使いません。
葉を鍋に戻し、水を800cc入れます。(葉が300gの場合は4.5L)
ハイドロサルファイトとソーダ灰をそれぞれ6g(葉が300gの場合は36g)ずつ入れ、再び火にかけます。
時折葉をおさえるか、落し蓋をして液に葉がしっかり浸るようにします。
沸騰したら火を止めて、バケツに洗濯ネットを被せて漉し、液を絞ります。
このとき、軍手の上からビニール手袋をはめると、熱が手に伝わりにくく、絞りやすいです。
黄色みがかった汁がバケツに溜まるはずです。
インディゴは還元されるとインジカンという水溶性の物質になるのですが、インジカンは透明なため、染液は青くなりません。
ちなみにインジカンは空気中の酸素で酸化し、不溶性のインディゴになります。これにより液の表面に青い泡ができます。これは藍の花と呼ばれています。
一度煮出しただけでは、まだまだ葉にインディゴが沢山残っています。
そこでこの工程をあと2回繰り返し、染液を合計三回バケツに溜めます。
これで染液の完成です。今回の分量では2.4Lできました。
染液を長時間放置すると酸化して染まりが悪くなるので、早めに布を染めます。
染める布を水に濡らし、絞っておきます。
乾燥葉50gだと、手ぬぐい2-3枚、Tシャツなら1枚を青に染めることができます。
染液に布を静かに入れ、布が空気に触れないようにしながら布を泳がせます。こうすることで、色むらができにくくなります。
染液から出してよく絞り、パタパタと空気に触れさせます。
最初は黄緑色だった布が、徐々に青くなってきます。(ここが一番楽しい!)
水溶性で透明のインジカンが布の繊維の間で空気に触れて酸化し、不溶性のインディゴになります。こうして青色が布に定着します。
絞り染めや型染めの場合は、解く前に布を絞ってある程度空気に触れさせ、それから解いてパタパタとはたきます。
そのあと、水で洗って余分な染料や汚れを落とします。
濃く染めたい場合は、染液につけて空気に触れさせる工程をもう2、3回繰り返します。
布を酸性の水につけてインディゴの酸化をすすめ、色止めをします。
安達太良山の麓の岳温泉の水がph2.7-2.8程度の強い酸性なので、歓藍社では岳温泉水で色止めを行なっています。
なんと岳温泉のph値は、藍染料専門店の老舗、藍熊染料の色止め用酢酸水のph値とほぼ同じなのです。すごい。
岳温泉がお近くにない場合は、酢やクエン酸を水に溶かして色止めをしてください。
クエン酸の場合は水5Lに10g程度、舐めて酸っぱさを感じる濃度に作ってください。
軽く洗って乾かしたら出来上がりです。