わたしたち歓藍社(かんらんしゃ)がここ福島県大玉村で、藍を育てはじめて2年目となりました。藍畑の面積も昨年に比べ約2倍に増え、わたしたちの活動は、藍作り、道具作り、場所作りなどさまざまな形に拡がり始めています。そこで、藍の成長が著しい夏の季節に、これまでの活動の成果を村の内外の方に報告するべく、この「大玉村の小さな藍まつり」を開催する運びとなりました。
今回の祭りでは、「道具の発見」と「協同作業」の2つを主題に掲げています。「道具の発見」は、手仕事にとって、その生産の質や量を大きく変化させる一つの転換点となります。また「協同作業」は、自然環境に呼応する形で営まれる農作業にとって、ある定められた季節や時間において欠かせないものです。この、協同作業における新たな道具の発見が、大玉村の持つ地域の活力に相乗する原動力となると考えています。
具体的な出し物として、生葉を叩いて色素を取り出す原始的な染色技法、叩き染めを応用し、新しい自作の道具を使った「大玉ゴロゴロ染め」の実演を行います。また、そこで染めた布などを使って、大玉村のこれからの風景を描くファッションショーを行います。
畑の藍染めワークショップでは、生葉を分解し藍の色素を水に溶かして布に定着させる手法、生葉染めの体験を通じ、藍という植物からどのような工夫をして色を取り出すのか、その過程を楽しんでいただければと思っています。藍の収穫の工程や、収穫した藍から染めに使う葉の部分のみを選別する工程は、歓藍社メンバーと参加者の大切にする協同作業で行います。夏という季節でしか得られない生の藍葉に接するこの機会が、藍という植物の持つ個性を感じられるものとなれば幸いです。
また、ゲストとして、世界のさまざまな道具仕事などの映像を記録する、エンサイクロペディア・シネマトグラフィカを活かす方々をお招きし、上映会を実施します。モノ作りの過程において古今東西分け隔てなく存在する、共感のあり方について、映像を通じ発見していただければと思っています。
わたしたちは、安達太良山を背負った(しょった)大地の恵みから「色」を作り出すこの試みを、多くの方と一緒に行いたいと願っています。賛同いただける方には、この秋、収穫する藍の種をお配りし、共に藍作りを行う予定です。藍を育てる仲間が増え、活動にさらなる拡がりを持たせていければと思います。まだ荒削りであるわたしたち歓藍社の取り組みについて、ぜひ忌憚ないご意見もこの機会にお聞かせいただければ幸いです。
全2日間と短く小さな催しではありますが、ご参加いただく方々全員にとって有意義なものとなることを願っています。
2017年7月16日 歓藍社一同